肺気腫について
COPD(慢性閉塞性肺疾患)・肺気腫について
- 肺気腫とは・・・・・
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の一種で肺の細胞の壁が長い年月をかけて徐々に壊れていく病気です。
この肺細胞の壁が壊れることで、隣り合う肺胞同士が結合し、肺の中がスカスカの状態になってしまうことから、呼吸障害などを引き起こします。
初期は自覚症状が乏しく、進行もゆっくり進むため、症状が悪化してから発見されるケースも多いです。
肺気腫とよく似た疾患に慢性気管支炎があり、2つを併発する患者が多いことから、両方合わせて慢性閉塞性肺疾患(COPD)とも呼ばれています。
基本的に、破壊された肺胞を元どおりに治すことはできないため、早期の診断が重要になります。
アメリカでは慢性閉塞性肺疾患(COPD)は死亡原因のトップ5に入っている病気です。日本も今後増加傾向にあります。毎年4000人ぐらいのペースで増えています。
肺気腫の症状と原因について
症状
肺全体が弾力のない伸びきったゴム風船のようになり、勢いよく空気を吐き出そうとしても思うようにうまくいきません。
そのために酸素を失った空気が肺胞に残り、酸素の多い新鮮な空気を吸い込むことができずに、息切れを起こしやすくなります。
そのため咳、タン、運動時の息切れが有り、ひどくなると平地を歩いている時やちょっとした動作でも息切れを自覚するようになります。
息切れと同時にしばしば気管支喘息と同様「ゼーゼー」、「ヒューヒュー」などの喘鳴が聴こえることもあります。
これは、肺気腫では、肺胞の弾性が失われる結果、気道が収縮して喘息と同じ現象が起きるからです。
しかも、気管支喘息は、気管支拡張薬を吸入すれば気道が開きますが、肺気腫の場合は、気管支拡張薬も喘息のように効果がないのが普通です。
さらに進行すれば、肺機能の低下により心臓が障害され肺性心の状態になります。
これは、心不全の状態ですので、動かなくても息切れが出現し、非常に重篤な状態になります。
肺気腫の原因
はっきりとした原因は明らかになっていません。下記のような事が原因と考えられています。
- 長期に渡る喫煙
- 大気汚染・何らかの有害物質の吸入
- 幼少期の気管支炎や肺炎
- 喘息
- 加齢・老化
中年以降に多く発症する人がいます。50歳以前に発症した人は若年性肺気腫と呼ばれます。 - α1アンチプロテアーゼ欠損症の遺伝病の患者様
特にタバコとの相関関係が強く指摘されており、実際に肺気腫の患者のほとんどが喫煙者です。
さらに、喫煙歴が長く、本数もより多く吸っている人の方が肺気腫にかかる可能性が高いです。
加齢によっても肺のしなやかさは失われていくので、若い時からタバコを吸い始めた高齢者は発症のリスクが高まります。
また非喫煙者であっても、常にタバコの煙が周囲にあるような受動喫煙の状況に長い間いると、発症する可能性があるので注意が必要です。
肺気腫を見つける為に
マルチスライスCTを用いた画像診断等が非常に有効です。
他にも肺気腫の診断には気管支造影検査、呼吸機能検査等も検査がありますが、CTの検査は寝ているだけで検査が可能で非常に容易です。
今、現在自分の肺がどんな状態に有るのか?転ばぬ先の杖として症状がある方はかかりつけの先生の診察を受けてください。
また肺気腫だけでなく肺に関するほぼすべての疾患の検査に有効です。(肺がん、肺炎、肺結核、気胸、アスベスト肺、肺転移など)
CTについて
単純に言いますとレントゲンの進化版です。
コンピューター断層撮影といいX線を用いて身体を横断像(輪切り)を撮影することが出来ます。最近の装置ではコンピューター処理によって横断面(輪切り)だけではなく、様々な方向の断層像が撮影できます。また、断層像の他にも立体的な3D画像を作成することもできます。さまざまな病気を発見することができます。
特に肺、腹部の疾患の発見に特に有効です。
肺気腫
気胸
肺がん
間質性肺炎
アスベスト肺
肺結核
また、呼吸時に空気を吐く力を測定する機器を使い、呼吸機能を評価するための検査、スパイロメトリーも実施します。
これは、閉塞性換気障害と呼ばれる障害があるかどうか、障害があるとすれば、どのくらいの程度かを調べるものです。
肺機能検査では、一般的に肺活量と1秒率を調べますが、気道の狭窄、閉塞の状態を調べる1秒率の測定がもっとも有用です。
これは、1秒間でどれだけ息を吐くことができるかを調べる方法で、これが70%以下は閉塞性の障害と診断します。
しかし、症状がでてくるのは、ほとんどが60-50%以下になった場合で、55%以下では強く肺気腫が疑われます。
肺気腫になった場合の治療
肺気腫になってしまった肺は正常に戻ることはありません。
しかし肺気腫の場合、病気の進行を抑える処置が必要です。
喫煙者は、病気の進行を抑えるために禁煙が必要です!
自覚症状を軽くする治療としては、吸入用気管支拡張薬とテオフィリン製剤等もあります。
なくなってしまった肺の弾性を取り戻し、昔と同じくらいの肺の機能を改善させることはできませんので、現在ある機能を最大限に利用し、少しでも日常活動の制限を少なくしようとする試みに「呼吸リハビリテーション」があります。
呼吸リハビリテーションの中心になるのが、運動療法と呼吸訓練です。
肺気腫患者の最大の問題は、運動時の息切れですから、非常に弱い運動から少しずつ運動の強度を上げていって、身体を運動に慣らしていきます。
毎日のゆっくりとした散歩を続けるだけで運動能力が少しだけですが増加する可能性があります。
また、口をすぼめたゆっくりとした呼吸法や、お腹に錘をおいて呼吸する複式呼吸法は、効率の良い呼吸で、患者さんの息切れを改善する効果がある場合があります。
さらに、肺気腫が進行してしまった場合には在宅酸素療法(HOT)を行います。
呼吸不全状態になると、息切れはさらに強くなり、少し動いただけでも、苦しい状態となります。
特に、肺気腫では、安静時では、PaO2が60以上あっても、ちょっと動いただけで60以下に低下して強い息切れが生じます。
その結果、進行した肺気腫患者は、日常の活動が制限され、QOLが著しく制限されます。
こういう進行した肺気腫患者に、もっとも有効な治療法が、少量の酸素を1日中吸入する在宅酸素療法(HOT)です。
その有効性は、欧米での研究で証明されています。
肺気腫の予防
予防をする上で最も大切なことは、喫煙者であればできるだけ早く禁煙することです。
また、肺気腫は初期の段階では症状が出にくいため、定期的に健康診断を受けて早期発見・早期治療につなげることが重要となります。
肺気腫を患っている人は、風邪やインフルエンザなどにかかると急性増悪と呼ばれる状態になり、症状が一気に悪化して命に関わるケースもあるため、日頃から手洗いとうがいを徹底し、ウイルスや細菌の感染を防ぐことも大切です。
上記のような症状が出たらかかりつけの先生にご相談下さい。
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